不動産の売却益は他の所得や支出と相殺できる?ケース別に解説!

不動産の売却では、様々な特例を利用することができます。
なかには売却益を所得や他の支出と相殺できるものもあり、利用しない手はありません。
しかし、少々ややこしい部分があり、敬遠している方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、不動産の売却益を他と相殺する詳細をケース別に解説します。
ぜひお役立てください。

 

□不動産の売却益がプラスの時に相殺できるケース3選

 

ここでは以下の3つのケースをご紹介します。
・他の不動産のマイナスの売却益と相殺
・特定のマイホームの買換え等の特例で売却益にかかる税を繰り延べ
・特定の事業用資産の買換え等の特例で売却益にかかる税を繰り延べ

 

*1. 他の不動産のマイナスの売却益と相殺

 

同じ年に行った不動産の売買でマイナスの売却益(譲渡損)が発生した場合、他のプラスの売却益(譲渡益)の譲渡所得を譲渡損の分、相殺することができます。
例えば、2,000万円の土地を3,000万円で売却し、1,000万円の譲渡益が発生したと仮定しましょう。
通常であれば、この譲渡益1,000万円に対して課税されますが、同じ年の別の不動産売却で500万円の譲渡損が発生している場合、1,000万円から500万円を差し引いた500万円分に対して課税されるようになります。
これを損益通算といいます。

 

*2.特定のマイホームの買換え等の特例で売却益にかかる税を繰り延べ

 

「特定の居住用財産の買換えの特例」を活用すると、売却益にかかる税の課税タイミングを買い替えたマイホームの売却時まで繰り延べることができます。
そのため、その年のキャッシュフローの観点からは、マイホームの売却益をそのまま買換え時の支出と相殺できることになります。
ただ、課税のタイミングが先延ばしになるだけで、完全に非課税になるわけではないことには注意しなければなりません。

例えば、2,000万円のマイホームを3,000万で売却し、1,000万円の売却益が発生したと仮定しましょう。
通常であればこのタイミングで、売却益1,000万円に対して課税されますが、買換え特例を活用することで、将来新居を売却した際へと課税のタイミングを延長することができます。
新居を4,000万円で購入し、将来6,000万円で売却したとすると、2,000万円の売却益に繰り延べしていた1,000万円の売却益が加えられ、合計3,000万円に対して課税されるということです。
なお、買換え特例には様々な用件があるので、利用する際は必ず確認しておきましょう。

 

*3.特定の事業用資産の買換え等の特例で売却益にかかる税を繰り延べ

 

事業用資産を売却して得た売却益を、他の事業用資産に買い替えた場合、買い替えた事業用資産を売却するまで、売却益の80%を繰り延べできる特例があります。
つまり、その年のキャッシュフローの観点からは、事業用資産の売却益の8割を買換え時の支出と相殺できることになります。
なお、マイホームの買換え特例と同じく、課税のタイミングを先延ばしにしているだけなので、買い替えた事業用資産を将来売却した際には、繰り延べた売却益を加算した額に対して課税されることに注意してください。

 

□不動産の売却益がマイナスの場合の相殺は?

 

ここでは以下の3つのケースをご紹介します。
・他の不動産のプラスの売却益と相殺
・特定のマイホームの譲渡損失の損益通算、繰越控除の特例
・マイホーム買換え時の譲渡損失の損益通算、繰越控除の特例

 

*1.他の不動産のプラスの売却益と相殺

 

不動産の売却でマイナスの売却益(譲渡損)が発生した場合、同じ年に発生した他のプラスの売却益(譲渡益)の譲渡所得を、譲渡損の分だけ相殺することができます。
例えば、2,000万円の土地を1,000万円で売却し、1,000万円の譲渡損が発生したと仮定しましょう。
同じ年に別の不動産の売買を行い、2,000万円の譲渡益が発生している場合、課税対象となる譲渡所得は2,000万円から1,000万円を差し引いた1,000万円分となります。

 

*2.特定のマイホームの譲渡損失の損益通算、繰越控除の特例

 

売却した不動産が住宅ローンの残っているマイホームで、その売却益がマイナスの場合、給与所得や事業所得と損益通算することができます。
さらに、その年でマイナス分が控除しきれなかった場合には、3年間は繰越控除して損益通算することができます。

例えば、4,000万円のマイホームを2,000万円で売却し、住宅ローン残高が3,000万円だったとします。
この際、3,000万円から2,000万円を差し引いた1,000万円が、損益通算と繰越控除の対象額です。
給与所得や事業所得が800万円の場合、その年の課税所得は0円になり、200万円分の譲渡損が繰越されます。
売却の翌年の給与所得が900万円の場合、翌年の課税所得は900万円から200万円を差し引いた700万円になるという計算です。

 

*3.マイホーム買換え時の譲渡損失の損益通算、繰越控除の特例

 

新たなマイホームの買換えのために売却して、その際の売却益がマイナスだった場合、給与所得や事業所得と損益通算することができます。
さらに、その年でマイナス分が控除しきれなかった場合には、3年間は繰越控除して損益通算することができます。
先ほどの特例と内容は同じです。

例えば、5,000万円のマイホームを4,000万円で売却し、新しいマイホームに買い換えたと仮定しましょう。
売却した年の給与所得が800万円の場合、その年の課税所得は0円になり、200万円分の譲渡損が繰越されます。
売却の翌年の給与所得が前年と同じ800万円の場合、翌年の課税所得は800万円から200万円を差し引いた600万円になるという計算です。

 

□まとめ

 

今回は、不動産の売却益を他と相殺できるケースについて解説しました。
売却益がプラスかマイナスかで、利用できる特例や要件は違ってきます。
まずは純粋な売却益を計算し、利益が生じているのか、損が生じているのかを確認しましょう。

 

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※こちらは2022年9月4日時点での情報です。
内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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