農地を相続したが農業をしない場合はどうすれば良い?

実家から離れて働いている方はもちろん、実家近くに暮らしていても、相続した農地を維持するのは難しい場合がほとんどだと思います。
そこで今回は、農業をしない方が農地を相続した場合の対処法を中心に解説します。

□農業をしない場合は農地相続の税金が高くなる?

「農業をしない場合は農地相続の税金が高くなる」
このような話を耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
では、実際のところはどうなのでしょうか。

そもそも、農業をしない人が農地を相続できるのでしょうか。
答えは、イエスです。

農地は農業を行うための土地であり、用途が限定されています。
農業を行っていた方が亡くなり、農業を行っていない親族がその方の農地を相続した場合、その土地で農業を続けられなくなるケースは多いです。
このような場合、相続した土地で農業を行わなくても問題ありません。

ただし、農業を続けない場合は税金が高くなることがあります。

農業が行われている農地を相続した場合、相続人が営農を続けることを条件に「相続税の納税猶予制度」の適用を受けられます。
この制度では相続時点で相続税の納税が猶予され、相続人が相続後に死亡した場合は納税が免除されます。

しかし、農地を相続しても農業を行わない場合はこの制度を受けられません。
農作物を売った代金で相続税として支払った部分が補填されることもないため、農業を行わない場合は結果的に農地相続の税金が高くなると言えますね。

□農地を相続しても農業を行わない場合はどうすれば良い?

農地を相続しても農業を行わないと、相続税の納税の猶予を受けられない上に、固定資産税などの負担も発生します。
そのため、農地を相続した場合、放置することはおすすめしません。

相続したら、次の2つの対応を考えましょう。
1つ目は、農地の売却です。
そして2つ目は、農地転用です。

農地を売却するのであれば、そのまま農業従事者に売却するのが一番手っ取り早い方法と言えるでしょう。
ただし、農業従事者の数は限られているため、買い手が見つかるまでに時間がかかったり、いつまでたっても買い手が見つからなかったりするかもしれません。

そのような場合は、農地を一旦農地以外に転用してから売却するといった方法が考えられます。
農地を相続しても農業を行わない場合、はじめから農地転用を考えておくと良いでしょう。
農地転用を完了するまでに農地のまま購入したいという人が現れた場合に、農地のまま売却するという手段を取れば良いのです。

□農地を売却する方法は?

農地を相続したら、そのまま売却するか、農地以外の用途に転用すると良いと説明しました。
では、それらはどのように進めていけばよいのでしょうか。
もう少し詳しく見ていきましょう。

*農地のまま売却

相続した農地を売却する際は、一度相続登記をしてから売却する運びになります。
農地は一定の要件を満たした農家にしか売却できないため、なかなかすぐには買い手は見つからない場合もあります。
個人間で勝手に売買することも認められておらず、農業委員会の許可を得る必要があります。

他にもさまざまな手続きが必要となるため、いずれにしても時間がかかってしまうことが予想されます。
農地をそのまま売却する場合は、売却できる可能性をよく検討し、調査を行った上で判断するようにしましょう。

*農地以外の用途に転用

農地の転用とは、土地の種目を農地から宅地へと変更することを指します。
農地を転用することで、土地を農業以外の用途で活用できるようになるため、自分で活用したり、売却しやすくなったりします。

市街化区域の第2種農地や第3種農地は宅地に転用できます。
宅地にすることで建物を建設して賃貸したり、高値で売れやすくなったりします。
駐車場を作って収入を得るという手もあります。
転用にはある程度の手間がかかりますが、転用できてしまえば売却や活用がかなりしやすくなるでしょう。

1つ注意しておきたいこととして、転用が困難な場合があることが挙げられます。
農地の場所によって転用のしやすさが異なるため、事前に調べておくことをおすすめします。

*相続放棄

売却や転用の方法について紹介しましたが、それ以外の選択肢として、「相続放棄」という手段もあります。
相続放棄を行えば、農地を相続せずに済みます。
ただし、その他の財産もすべて相続できなくなってしまうため、デメリットが大きい方法でもあります。

さらに、相続放棄には「相続開始を知ってから3カ月以内」という期限があります。
相続放棄をお考えの場合は、早めに決断することが求められます。

□まとめ

今回は、農業をされない方が農地を相続した場合の対処法について解説しました。
いつか農地を相続することが予想される方は、相続後にどうするかを事前に考えておき、早めに決断できるようにしておくと良いですね。

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※こちらは2021年8月29日時点での情報です。内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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