相続が家しかない場合の遺産分割方法とは?

遺産相続では、被相続人の遺産を相続人の間で分け合うことになります。
その際、相続が家しかない場合があるでしょう。
家はお金と違い、価値基準を明確には推し測ることができません。
そのため、分割方法によっては相続人間のトラブルのもととなることもあります。
今回は、相続が家しかない場合の遺産分割について解説します。

 

□相続が家しかない場合はどうするべき?

 

遺産相続では、相続人全員が納得して相続できる分割方法を模索することが必要です。
そうなるとやはり、相続人間で価値が平等になるように分けていくことが必然的に求められていくわけですが、相続が家しかない場合は簡単にはいきません。
物として1つしかありませんし、その家に対する価値基準が人によって異なってくるからです。

では、どのようにすれば分割していけば良いのでしょうか。
相続が家しかない場合の遺産分割の方法には、代償分割と換価分割の2つがあります。

 

*代償分割で相続人の1人が単独で家を相続

 

代償分割では、家を相続するのは相続人のうちの1人だけになります。
家を相続した人は、それ以外の相続人に対して代償金を支払うことで、不平等を解消するという仕組みです。
家を相続したい、もしくはしても良いという方が1人だけならば、非常に有効な方法といえます。
他の相続人にとっても合理的な代償金を得ることができるので、お互いにとってメリットな方法です。

ただ、家を相続する人は、まとまった資金を準備できなければなりません。
今後のトラブルを避けるためにも、相続した時点で代償金を支払っておく方が良いため、経済的に余裕がある場合にしか実現は難しいでしょう。

 

*配偶者居住権と代償分割を併用

 

配偶者居住権とは、被相続人が所有していた家に居住していた配偶者が、建物を無償で使用・収益化できる権利のことを指します。
これは、建物の所有者である被相続人の死後でも、残された配偶者が住む場所に困ることのないようにするための権利です。
そのため、相続の場でも絶対的に主張できる権利として働きます。

しかし、配偶者がその家を所有する権利は持ち合わせていないため、他の相続人が家の相続を受けることは不可能ではありません。
その際におすすめなのが、配偶者居住権と代償分割の併用です。

配偶者は今まで住んでいた家に引き続き住み続けることができ、さらに家を相続する人にとっては支払う必要のある代償金を減らすことが叶います。
ただ、代償金や相続税の計算に影響が出るため、別途専門家による評価が必要になることに注意してください。

 

*換価分割で家を現金化

 

相続が家しかない場合の最も公平的な遺産分割方法は、換価分割です。
換価分割では、被相続人が所有していた家を第三者に売却し、その売却代金を相続人の間で分けます。

お金にかえることで、数字で表現可能な価値基準にできるため、価値観の相違によるトラブルを避けられる可能性が高まります。
他にも、家を維持するのに必要な費用がかからなくなる点もメリットです。

ただ、この換価分割は家が売却できることが大前提となります。
需要がない場合には、長い間家が売却できない可能性もあるでしょう。
また、買い手が見つかったとしても、想定よりも低い売却価格になる可能性も否定できません。
話し合いがまとまらない際の最終手段として有効な方法ではありますが、こうしたリスクがあることも忘れないようにしておきましょう。

 

□家を共有不動産にする法定分割も可能

 

一般的に、遺産の相続は法定相続が原則です。
記事前半で述べた遺産分割の方法はあくまで例外であるため、たとえ相続が家しかない場合でも、法定分割は選択肢の1つとして考えても良いでしょう。

法定分割では、家を相続人間で持分として所有し、共有不動産にします。
法で決められている法定相続分に応じて、家を分割して所有するのです。
法定分割を活用すれば、1つしかない家でも綺麗に分け合えるということになります。

しかし、家を共有不動産にするのはあまりおすすめできません。
まず問題点として挙げられるのは、管理の方法です。
法定分割では家をそのまま所有していくことになるため、必然的に維持していく責任が生じます。
維持費は持分に応じて分割すれば良いかもしれませんが、管理はそうもいきません。
誰かが代表して管理していくにしろ、不満が生じる可能性があるでしょう。

また、売却をするとなった際には、必ず全員の同意が必要になります。
1人でも反対者がいれば、その家を売却することはできません。

仮に家を共有した状態で共有者の誰かが亡くなった場合には、その死亡した共有者の相続人が持分を相続することになります。
放っておくと連鎖的に共有者が増えていくことになり、権利関係は複雑になるでしょう。
そうなると、先ほどの売却という手段の実現も不可能になってしまいます。

結果的に、共有不動産にする法定分割は、遺産分割の問題を先延ばしにしているだけになるため、最終的な解決になるとはいえません。
これらを踏まえると、法定分割をおすすめすることはできません。

 

□まとめ

 

今回は、相続が家しかない場合の遺産分割方法について解説しました。
相続が家しかない場合、なかなか相続人全員が納得できる遺産分割の方法を実現することは難しいかもしれません。
選択肢をなるべく多く持ち、お互いに妥協し合いながら話をつけていきましょう。
なかなか進展しない場合は、私たちのような専門家を頼るのも1つの方法です。
お悩みの際はぜひ検討してみることをおすすめします。

 

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※こちらは2022年11月4日時点での情報です。内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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