要注意!相続時精算課税制度を使っても不動産取得税は原則かかります!

相続時精算課税制度とは、最大2500万円までの贈与による課税のタイミングを、贈与時点から相続時まで引き延ばすことのできる制度です。
しかし、その相続時精算課税制度を使っても、不動産取得税は原則かかります。
一体どういうことなのでしょうか。

□相続時精算課税制度とは?

平成15年、タンス預金が世に出回ることを期待して、相続時精算課税制度が行われるようになりました。
60歳以上の祖父母や父母から18歳以上の子や孫へ、2500万円までであれば贈与税が非課税になります。
ただし、その負担が完全になくなるわけではありません。

「相続時」「精算」「課税」という3つのワードの通り、非課税になった分の贈与財産は、相続時に相続財産に加算され、その合計額に対して相続税が課税されるということになります。
よって、贈与税の対策にはなっても、相続税の対策にはなりません。

とはいっても、悪いことばかりではなく、以下のようなメリットもあります。
・一度で2500万円分の贈与ができる
・資産をスムーズに分配できる

贈与税には基礎控除があり、その上限は年間110万円までと定められています。
相続時精算課税制度を使えば、2500万円までは贈与税がかかりません。
そのため、不動産など110万円を超える財産であっても、一括で贈与することができるようになります。

また、2500万円を超えたとしても、税率は20%止まりです。
通常であれば、2500万円以上だと45%程度かかりますから、大きな節税になることが分かりますね。

さらに、相続時精算課税制度は、2500万円の非課税枠を超えるまでは何度でも使うことができます。
贈与する不動産の種類に制限もないので、大きなメリットです。

しかし、相続時精算課税制度を使用すると、暦年贈与つまり年間110万円までの基礎控除は利用できなくなります。
もし暦年贈与を使って、年間110万円の贈与を23年間以上続けた場合、相続時精算課税制度の上限額である2500万円を非課税のまま超えることができます。
少額を長期にわたって贈与していくのであれば、相続時精算課税制度は利用しない方が良いかもしれません。
場合によって向き不向きがあることを覚えておきましょう。

□不動産取得税は贈与時にかかる税金

不動産取得税は、不動産を取得した際に課される税金のことで、その取得方法は購入や贈与などがあたります。
ただ、相続で不動産を取得することになった際には、不動産取得税は課されません。
相続時に得た不動産は相続税の対象になるからです。

つまり、相続以外で不動産を取得した際には、不動産取得税がかかります。

相続時精算課税制度を利用するということは、それは贈与を行っているということです。
したがって、相続時精算課税制度の適用を受けていても、不動産取得税は課税されます。

それでは、どれくらいの不動産取得税がかかるのでしょうか。
不動産取得税は、取得した不動産の固定資産評価額の3%となっています。
例えば1200万円の固定資産評価額であれば、36万円の不動産取得税がかかる計算です。

ただし、不動産取得税は事情によって軽減できることがあります。
次の章にて確認してみましょう。

□不動産取得税は軽減できることがある

不動産取得税は、事情によって軽減されることがあります。
軽減される際の不動産そのものの条件については、以下の通りです。

1.土地と建物の両方の贈与があった
土地と建物の両方の贈与を受けた場合、不動産取得税が軽減されます。
なお、一部の持分であっても、土地と建物がセットで贈与されていれば対象です。

2.贈与を受けた者が住むための建物を贈与した
贈与の受け手が居住するための建物を贈与した場合、不動産取得税が軽減されます。
実際に住んでいなければ対象外になることに注意してください。

3.建築年が昭和57年1月1日以降である
昭和56年12月31日以前の建物である場合、完全に不可能なわけではありませんが、不動産取得税の軽減を受けることは難しくなります。
昭和56年の耐震基準では今の基準に合わないためです。
耐震基準適合証明書を取得していれば、昭和56年以前の建物でも軽減措置を受けることができます。

ただそのためには耐震工事を行わなければならず、工事費に100万円以上かかることになります。
それであれば、通常の税率で不動産取得税を納めた方が安上がりですよね。
安全面から見れば耐震工事はしておいた方が良いですが、不動産取得税の軽減の面から見るとあまり現実的ではありません。

4.床面積の合計が50平方メートル以上240平方メートル以下である
上記の通りで、あまりに小さい建物や、あまりに大きい豪邸のような建物には、不動産取得税の軽減措置が適用されません。

□まとめ

今回は、相続時精算課税制度と不動産取得税について解説しました。
相続時精算課税制度を使っても、不動産取得税がかかることには変わりありません。
ただ、条件によっては不動産取得税を軽減できることもあるので、一度国税庁のHPを確認してみることをおすすめします。
何かご不明点があれば、お気軽にご相談ください。

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※こちらは2022年9月4日時点での情報です。
内容が変更になる可能性がございますのでご了承ください。

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